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~0か100か?~
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院長コラム
―「絶対ない」とは言えない医療の話―
最近、患者さんからよくいただくご質問があります。
「この症状は、どれくらいの確率で重い病気なのでしょうか?」
たとえば、30歳代の方が持続する下血で受診される場合、多くは潰瘍性腸炎や痔出血など緊急性や命に関わらない疾患であることが多く、年齢から考えても大腸癌の可能性は高くありません。そこで、私は、「可能性としては低いですが、念のため内視鏡(大腸カメラ/胃カメラ)を検討したらどうでしょうか?」とご説明します。
ここで大切なのは、「低い」と「0(ゼロ)」はまったく違うということです。
今月、日本でも有数の学会誌である日本消化器病学会雑誌に、私たちの論文が掲載されました。

内容は、19歳という非常に若い年齢で進行大腸がんを発症した症例です。
一般的に大腸がんは若年ではまれであり、特に20歳以下では統計的には「可能性は極めて低い」とされます。しかし実際には、その「極めて低い確率」が現実となることがあります。

ここで、患者さんにとって非常に重要な視点があります。
たとえば、「その病気の可能性は0.001%です」と言われたとします。統計的にはほとんど起こらない出来事です。しかし、いざ自分がその0.001%に入ってしまえば、その人にとっては“100%の現実”になります。
逆に、80%の確率で重い病気の可能性があります」と言われたとしても、実際に検査して何もなければ、その人にとっては結果は“0”です。
つまり当事者にとって、確率と現実はまったく別のものです。

今回の症例でも、下痢や腹痛といった比較的よくある腸炎のような症状から始まり、結果としては進行大腸癌でした。このように、よくある症状の中に、まれな重大疾患が隠れていることがあるのです。
だからこそ私は診療の中で、以下のバランスを常に意識しています。
☑可能性が低くてもゼロとは言わない
☑不安を過度に煽らない
☑しかし見逃さない
患者さんにとっても大切なことがあります。「可能性は低いから大丈夫」ではなく、「低いけれど0ではないから、きちんと確認する」という考え方です。
医療は「0か100か」で事前に容易に語れるものではありません。ですから、医師は可能性として説明しますが、患者さんが体験するのは、最終的には「0か100か」の結果です。その狭間にある「確率や可能性」というあいまいな世界をどう理解し、どう行動につなげるか?を念頭に日々の診療にあたりたいと思います。
医療法人英知会「はらだ内科・内視鏡クリニック」
〒753-0021 山口県山口市桜畠2丁目6-8
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