~カルプロテクチン~
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院長コラム
新しいクリニックの前の駐車場予定地(約20台)が完全に平らになり、その広さに改めて驚かされています。


さて、前回のコラムでは、炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病)の診療において、症状がなくても病気が“再燃しかけている”予兆を早く見つけることの重要性について触れました。そのカギを握るのが、便に含まれる炎症マーカー「カルプロテクチン」です。
腸に炎症が起こると白血球からカルプロテクチンが放出され、便の中に混じる量が増えます。つまり、下図のような十数センチのキットに少しの便を採取することで腸の炎症の程度をある程度推測できるのです。

この検査の良いところ
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炎症の強さを敏感に反映し、血液検査よりも腸の状態をとらえやすい
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繰り返し測定できるため、病気の変化を追いやすい
- 小児や高齢者でも負担が少ない
こうした特性から、便中カルプロテクチンは 症状が出る前に再燃の兆しをとらえる、薬の効果を数字で確認できる といった点で非常に役立ちます。また「いま内視鏡を受けるべきかどうか」の判断材料にもなります。少なくとも潰瘍性大腸炎では、カルプロテクチンはCRPやよりも鋭敏で感度が高いことが次々に報告されていました。現在、全国のIBD専門施設で急速に使用が広がっており、新クリニックでも導入を予定しています。山口県内ではまだ院内に設備を持つ施設はないとのことで、当院が県内初となるかもしれません。
もちろん、この検査だけで診断や治療方針が決まるわけではありません。症状や血液検査、内視鏡などと組み合わせて総合的に判断する必要があります。しかし、患者さんにとって負担の少ない有用な検査として、今後の診療に大きな力を発揮すると期待しています。
医療法人英知会「原田内科胃腸科医院」
〒753-0021 山口県山口市桜畠2丁目6-8
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