こんにちは。
前回は、大腸がんの主な検査法の「メリット」についてお話ししました。今回はその「デメリット」に焦点をあててご説明します。
まず「便潜血検査」のデメリットは、感度が低いことです。進行がんの約2割、さらに早期がんや癌のもととなる腺腫(ポリープ)を含めると、実に5割が検査で反応しないという事実があります。特に、お尻から遠い「奥の大腸(右側大腸)」にある病変ほど反応しづらいことが知られています。したがって、「便潜血検査が陰性だから大腸は大丈夫」とは言い切れません。
次に「カプセル」についてです。腸への刺激が少なく、腸自体へは負担の少ない検査ですが、約4リットルの下剤を飲む必要がある点が大きな難点です。私自身も一度体験しましたが、4リットルの下剤を飲みきるのはかなり大変でした。
近年、特に高齢の方でニーズが高まっている「大腸CT」については、がんの可能性が高い6mm以上の病変に関しては内視鏡と同等の検出率があります。ただし、がんではなくても将来的にがんになる可能性のある5mm以下の腺腫(ポリープ)については、残念ながら内視鏡検査に比べて検出率が劣ります。
では、「発見」と「治療」が同時にできる大腸内視鏡検査にはどのような課題があるでしょうか。人によって感じ方は異なりますが、腸への刺激や送気による膨満感から不快感を覚える方が少なくありません。私自身も実際に受けたことがありますが、正直に言えば「しんどかった」です。患者様の中にも「もう受けたくない」というお気持ちを持たれる方がいらっしゃるのも理解できます。
しかし、鎮静剤(麻酔に近い薬)を使用して眠った状態で検査を行うことで、ほとんどの方は痛みを感じることなく内視鏡検査を受けることが可能です。実際に、リニューアル前の当院でも私が鎮静剤を用いて大腸内視鏡(大腸カメラ)を行っており、
「いつ始まっていつ終わったのか覚えていない」
「まったく苦痛がなかった」
「また受けてもいいと思えた」
といったお声を多くいただきました。
今回の新クリニックのリニューアルでは、この“眠って受けられる内視鏡”をより多くの方に提供する体制を整えました。少しでも多くの方の大腸がん・胃がんの早期発見・早期治療に貢献できるよう、環境・設備ともに力を入れています。
次回は、この「鎮静剤を用いた内視鏡」について、さらに詳しくお話ししたいと思います。どうぞご期待ください。
医療法人英知会「はらだ内科・内視鏡クリニック」(2025年11月4日 リニューアル・オープン予定)
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