~除菌はゴールじゃない~

こんにちは。
先先週末は、淡路島まで新幹線とバスをのりつぎ、学会社員総会の出席のため第47回ヘリコバクター学会に参加してきました。今後の胃がん内視鏡検診の方向性を確認でき、私の専門である「ヘリコバクター ピロリ菌」や「胃がん」そして「ピロリ菌ではない新しい菌」について知識を深める貴重な時間となりました。

「胃癌の最大の原因であるピロリ菌を除菌すれば、胃がんの心配はもういらない」――そう思っていませんか?
確かに、ピロリ菌の除菌は胃がんの発生リスクを大きく下げる治療法として知られています。しかし、実際の医療現場では除菌後にも胃がんを発症する患者さんが一定数存在します。そこに、「ピロリ菌の除菌後胃がん」という新たな課題が浮かび上がってきます。

ピロリ菌は、慢性胃炎を引き起こし、長年にわたり胃の粘膜を傷つけていきます。その結果、萎縮性胃炎や腸上皮化生といった“がんの土壌”がすでに形成されてしまっている場合、除菌してもその変化が完全に元に戻るわけではありません。つまり、「除菌したあとにも胃がんになる素地が残っている」のです。

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また、除菌後の胃がんは発見が難しいという別の問題も抱えています。内視鏡での視認性が低下しやすく、特に早期胃がんでは周囲との境界が不明瞭になることがあります。ですから、除菌直後こそ最も注意深いフォローアップが必要だといえるのです。

このような背景から学会などでも、除菌後も定期的な胃カメラ(上部内視鏡/胃内視鏡)を強く推奨しています。とくに、除菌前に高度の胃粘膜萎縮や腸上皮化生が認められた方、高齢者、胃がんの家族歴がある方などは、引き続きハイリスク群として注意が必要です。

除菌はあくまで「スタートライン」に過ぎません。大切なのは、その後の**“自分の胃とどう向き合っていくか”**ということ。見えないリスクに備えるためには、過信せず、定期的な検査と医師との相談を続けることが、胃を守る最善の道なのです。次回は今ホットな話題の「ピロリ菌ではない新しい菌」についてお話したいと思います。

 

医療法人英知会「原田内科胃腸科医院」
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