こんにちは。新クリニックの外壁のタイルも整い始めました。前回のコラムで減薬について少し触れましたが、そのために私が考えていることを少しお話していきます。
まず、お薬には大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつは「ずっと飲み続ける薬」、もうひとつは「ある期間だけ飲む薬」です。たとえば、高血圧の薬や潰瘍性大腸炎・クローン病・腸管ベーチェット病など難病の炎症性腸疾患(IBD)の治療薬は、症状を安定させるためにずっと飲み続ける必要があります。一方、胃潰瘍や帯状疱疹の薬などは一定の期間だけ飲めばよいとされています。
でも最近私は、「やめどきが分かりにくい薬」というもうひとつのタイプがあると感じています。便秘薬や胃酸を抑える薬(制酸剤)などがその例です。たとえば、便秘症は多くの場合、運動不足や食物繊維の少ない食事が原因です。まずは下剤で排便を助けることが必要ですが、運動や生活を見直すことで薬がいらなくなることもあります。また、逆流性食道炎では、胃酸が方になっておこる胸やけや胃の不快感に制酸剤が効果的です。ただ、食生活や睡眠、ストレスなども原因になるため、少しずつ生活を整えることで薬を減らせる可能性があります。
とはいえ、生活習慣の改善は簡単ではありません。「分かってはいるけど続かない」という声もよく聞きます。私たち医療者も同じです。だからこそ、一人ひとりに合わせて「いつ薬を減らすか」「どこから生活を見直すか」を一緒に考えていくことが大切だと感じています。たとえば、朝食にサラダを加える、寝る前にストレッチをするなど、できることから始めれば十分です。
減薬は「薬をやめること」が目的ではなく、自分の体が本来もっている力を取り戻すためのステップです。新しいクリニックでも、そんな「一緒に考える医療」を大切にしていきます。どうぞ、どんなことでもお気軽にご相談くださいね。
医療法人英知会「原田内科胃腸科医院」
〒753-0021 山口県山口市桜畠2丁目6-8
TEL. 083-923-2344